キャンアピコラム

CANAPI COLUMN

アピアランスケアを巡る山形県の取り組み

インタビュアー:事務局 渡部

山形県薬剤性脱毛サポート協議会、工藤会長(山形県立病院外科部長)にお話を伺いました。



工藤  俊(くどう しゅん)
山形県立中央病院
(山形在住)


設立の経緯や時期については?
2011年頃に立ち上がった活動です。設立の経緯は抗がん剤治療により髪の毛が抜けたけれども美容院に行けない、行って変な目で見られたくないし、視線を感じるのが嫌だと言う患者さん達のニーズを感じたからです。
そんな患者さん達の多くの思いがあり、山形県美容業生活衛生同業組合に相談したところ「美容師としてのサポートが出来ないか?」と言う話になりました。がん患者さんへの配慮を含め、医療者側から患者さんに起こりうる一連の勉強を美容師にして頂き専門性の高い資格者を募ることになりました。
具体的には1日かけて、希望する美容師に座学・講習会を行い、最後にテストして合格者のみに資格を発行します。今では、これに山形県として補助金を頂き活動を後押しして頂いています。
資格者がいる美容院は県内100箇所以上です。個室対応が出来るところ、時間外に対応できるところなど、患者さんの声を反映させてプライベートスペースで美容行為が出来るように配慮することを条件としています。
資格者には年に一回講習会があり、情報提供やケーススタディを共有し常にアップデートしています。また、3年に1回更新する必要があり、資格のクオリティーを担保しています。

実施主体である山形県美容業生活衛生同業組合事務局長、水野正登様にお話を伺いました。

組合の対応や現場の反応は?
当時、工藤先生から組合に相談があった時、外見をサポートする専門家としての美容師に何が出来るのか?考えました。先生からお話を伺うと、主に女性の患者さん達が医学的な治療は順調に進んでいても、外見の変化によりメンタルの部分で落ち込んでいたりするなどと言う深刻な話を聞きました。
元々組合ではご高齢の方、障害をお持ちの方など美容院へ行けない人に対して任意の会を立ち上げ訪問美容を行ってきました。
実際に患者さん達に接したことがある美容師やがんを経験したことがある美容師もいたので、その方々を含めてサポートの会を設立したのが経緯です。その後、組合が事務局機能を担う資格制度を立ち上げました。現在は133名の美容師が資格を持ち各美容院でサービスが受けられる体制を整えています。
サービスを始めてみると、日本各地から問い合わせがあり関心の高さを感じました。私たちも日本で初めて事業化した地域として更なる発展を目指していき、患者さん達に寄り添う制度として一層の充実を図っていきたいと思います。

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