私たちについて

About us

趣 旨

近年のがん治療の進歩は目覚ましいものがあり、我が国でも多くのがんで生存率が上昇傾向にあります。しかし、がん治療では外見の変化(脱毛・身体の変形・瘢痕・皮膚や爪の障害・むくみなど)を伴うことがあり、患者さんにとっては大きな負担となっています。しかしながら、外見変化の軽減や改善に対する研究や支援は、これまであまり注目されてきませんでした。がん患者さんの中には、外見が変化したことで職場や学校などの日常生活でつらい思いをして治療の継続ができなくなったり、心理的苦痛を感じる人も多くみられます。現在、そうした苦痛を軽減する医療「アピアランスケア」が行われるようになってきましたが、十分には普及していません。
日本キャンサーアピアランスケア協会は、がん治療による外見の変化で生じる苦痛を改善するための、適切な情報と多様な選択肢を示すことにより、医療者・がん経験者と力を合わせてがん患者のQOL(Quality of Life)向上に寄与したいと考えています。

先ずは、「アピアランスケア」の認知度を上げる情報発信を行い、経済格差や社会的立場に関係なくすべての人が適切な医療を享受できる体制作りを国に提言します。がん患者さんが自分らしさを保ちながら、納得できる治療を自ら選び、受けられる社会を目指します。この「アピアランスケア」がん患者が社会に復帰するための一助になることを願い、活動していきます。

今回、法人化の申請を行ったのは、活動をアピアランスケアの専門家、医療者、がん経験者が協力して行う事で、アピアランスケアを日本に定着させ、継続的に啓発を推進し、日本全体へ広げていくためには、行政、医療機関、患者団体などの関連団体との連携を深める必要があるという観点から、社会的に認められた公的な組織にすることが最良の策と考えたからです。また、当団体の活動は営利目的ではなく、多くの方々に参画していただくことが不可欠であり、非営利型一般社団法人格を取得するのが最適と考えています。
法人化することによって、組織を発展、確立でき、我が国のアピアランスケアの支援活動を続けることで、今後の日本社会に広く貢献できると考えています。

申請に至るまでの経過

●2021年 7月
任意団体「日本キャンサーアピアランスケア準備会」発足
●2021年 8月
「日本キャンサーアピアランスケア準備会交流会」開催
●2021年 8月
準備会参加者で法人化の意思確認
●2021年 9月
設立総会開催
●2021年9月17日
一般社団法人 日本キャンサーアピアランスケア協会発足

理事(順不同)

土井 卓子 理事長
医療法人湘和会 湘南記念病院乳がんセンター長

「女性が外科医になって」
私が医学部を卒業したころ、女性は外科に進みにくい雰囲気がありました。乳がん治療を行う上では補正用の下着の問題、化学療法による脱毛、肌荒れ、顔が変わってしまうなど女性にとっては多くのつらいことがありました。当時、男性の医師には気が付かないことでしたが、ここを支えないとうまく治療が進まないと思い、ケアに取り組んでいるうちにいつの間にか外科に居ついた私です。現在アピアランスケアの重要性は広く知られるようになりました。コツをみんなで共有して支えあっていけたらと思っております。

渡邉 隆紀 理事
国立病院機構 仙台医療センター 乳腺外科医長

仙台医療センター乳腺外科の渡辺です。乳腺外科を始めて30年ほどになります。私の専門は超音波診断で、乳房超音波診断ガイドライン作成にも深く関わってきました。化学療法による脱毛サポートは私のライフワーク的なもので、25年程前に美容師をしている乳がんの方からいろいろ教えられたのがきっかけでした。それ以来、美容師やエステティシャンの方々とチームを作って取り組んできましたが、近年アピアランスケアという言葉が普及し、また仲間も増えて、今後は多くの困っている方々の役に立てればと考えております。

田中 眞紀 理事
JCHO久留米総合病院 名誉院長

「治療中もおしゃれを楽しみましょう」
がんの治療では様々な副作用が起こります。とくに脱毛をはじめとした見た目(アピアランス)の変化は精神的にも苦痛を感じるものです。治療を中断したいと思うこともあるかもしれません。大事な治療を予定通りに受けていただくために、治療の専門医・医療スタッフ・治療経験者がサポートいたします。是非、おしゃれをして外出したり友人との会話を楽しみながら治療生活を過ごしてください。

村田 陽子 理事
松江赤十字病院 乳腺外科医師

まだアピアランスケアという言葉もなかった20年くらい前、乳がんの患者さんの会で、皆でメイクをしたことがありました。 化学療法中の70歳くらいの方が、眉を描いてもらって、「そう、私こんな顔だったのよ!」とおっしゃった時の輝いた表情を今でも思い出せます。 治療による外見の変化のつらさを、一生懸命我慢しておられたとのことでした。 がんの治療も進歩してたくさんのサポートが可能となってきた今、ただ我慢して受けるだけでなく楽しみも見つけられるように、医療従事者としてお手伝いしたいと思います。

福﨑 真実 理事
静岡県立静岡がんセンター がん看護専門看護師

がん医療は「治す医療」から「治し、支える医療」に変化しつつあります。現在、この「支える」医療の多くは看護師をはじめとするコメディカルの皆さんで担っていますが、持っている情報は一定ではありません。キャンサーアピアランスケアは単に外見の支援をすることを目的とせず、患者さん、ご家族の在り方を支えるものであると実感しております。患者さんならびにご家族を徹底支援していくための情報を、この場から発信していきたいと思います。

小林 忠男 理事
学校法人天理大学理事
前大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻招へい教授

その昔私は、細胞診の研究でルンド大学・スウェーデン(ス国)に住んでいました。2007年頃大学を訪問した時、腫瘍センターで衝撃的な光景を見ました。それは、脱毛予防の為に頭皮冷却帽子を被った患者さんが、椅子を並べて点滴癌治療を受ける光景でした。さらに、ネイルケアをするボランティアと談笑するようす。私はこの場面をそのまま切り取り、帰国後「あけぼの滋賀」会員さんとの会合でその話をしました。皆さんは口々に「凄い!」の声を、今も鮮明に覚えています。こんなス国のような環境作りを「キャンアピの活動」と共に応援出来たらと思います。

山崎 多賀子 理事
美容ジャーナリスト

抗がん剤による脱毛経験が、「心と外見と社会の関係」を深く考えるきっかけをくれました。以来、がん患者さんの美容セミナーやアピアランスケアの取材を通し、気づいたことは、変化した外見を化粧などでカバーする、しないは本人の自由ということが大前提。そのうえで元気に装うことは自分を楽しむことであり、笑顔と自信を取り戻し、社会復帰へ背中を押す手段のひとつであること。外見の問題は心の問題です。アピアランスケアを知れば知るほど、私が目指したいのは、変化した外見を隠しても、隠さなくてもいい「社会」なのです。

原 千晶 理事
タレント、よつばの会代表

私は30歳の時に子宮頸がん、35歳の時に子宮体がんに罹患し手術や抗がん剤を経験しました。治療の真っ只中の時は体調と向き合うのに必死で外見など気にしている余裕はなかったのですが、治療が終わり少しずつ体力や気力が戻って来た時に、頭髪や眉毛、睫毛の事など治療によって大きく変わってしまった外見にどう対応していったらいいのか、当時はあまり情報もなくとても悩みました。こういった治療による外見の変化や悩みなどに少しでも有益な情報をお伝え出来れば幸いです。

渡部 享宏 理事
NPO子宮頸がんを考える市民の会理事長

3歳年上の仲良しだった姉を悪性リンパ腫で亡くしました。1年半の闘病、抗がん剤治療でしたが、頭髪が抜けたとき、 本人は「頭の形良いだろ」と気丈に振る舞っていましたが、内心は相当ショックだったと思います。あの時、自分は何をしてあげられたんだろう。今でも、後悔も含めそう思うことがあります。その答えを キャンアピで医療従事者の方、がんサバイバーの方と共に 伝えていければと考えています。

お問い合わせCONTACT